マルモッタン・モネ美術館

アートの処方箋

アートでWell-beingの向上

日本はもうすぐ新年度。子供も大人も、周りの環境が変化することで体調を崩しやすい時期です。お子さんの入園や入学、ママの仕事復帰も重なる時期ですね。

私たちを取り巻くさまざまな要因は、健康やウェルビーイングに大きな影響を及ぼします。

Well-being(ウェルビーイング)とは、心身と社会的な健康を意味する概念。一時的・瞬間的に良好かどうかではなく、「持続的な」幸せを意味するのがウェルビーイング。身体だけでなく、精神的、社会的にも満たされている広い意味の幸福・多面的な幸せを表す言葉です。

健康で幸福に過ごすこととアートの関わりについて、欧米を中心に研究が進んでいることをご存知ですか?

海外では、患者のメンタルヘルスケアのためのプログラムとして、アートの介入が行われているんです。そのきっかけとなったのは、世界初、2018年にスタートしたカナダ・モントリオールの「MMFA-MFdC Museum Prescriptions(美術館の処方箋)」というプロジェクト。

「薬」だけでは解決できないことが多いのも事実。

この記事では、アート鑑賞がストレス緩和にどう繋がるのか、「美術館の処方箋」とはどのようなプロジェクトなのかをご紹介していきます。

目次
1.アートの処方箋とは?
2.アートを鑑賞することのメリット
3.より良い効果を得るためのおすすめ
4.最後に(Paris Art Naviについて)

アートの処方箋

処方箋

何か体に異変や不調があれば病院へ行き、医師はその症状にあった処方箋を出してくれます。その処方箋を薬局へ持って行き、薬を購入しますが、その処方箋が美術館の無料チケットだったらどうしますか?

ベルギーの首都ブリュッセルでは、医師が患者に「美術館や博物館への無料入場」を処方する試験的なプロジェクトが2021年からスタートしています。

このきっかけとなったのは2018年にスタートしたカナダ・モントリオールの「MMFA-MFdC Museum Prescriptions(美術館の処方箋)」プロジェクト。

拒食症や過食症などの摂食障害を抱えている方、自閉スペクトラム症(ASD)、乳がん、言語や知的障害など、さまざまな精神的健康に問題を抱える人が対象となっており、最大で50回の処方箋を発行できるのだそうです。

同じようなプログラムがアメリカやイギリスでも行われており、パリでは、マルモッタン・モネ美術館がこの取り組みを実施。患者は、リラックスしながらモネの睡蓮を鑑賞することができます。 

では、アートと触れ合うことでどんなメリットがあるのでしょうか?

アートを鑑賞することのメリット

芸術が健康に及ぼす好影響は、体を動かすと得られる効果と似ているとされています。

「幸せホルモン」と呼ばれるドーパミンの分泌量が体を動かしたときと同程度で、慢性的な痛みやうつ症状、ストレスや不安などの緩和につながることが、近年の研究で明らかになっています。薬による副作用がないのもポイントです。

①心身のリラックス

②創造性の向上

③感情の安定化

④副作用がない

より良い効果を得るために

アート鑑賞後には、自分の好きな作品、気になった作品を誰かに話してみてください。誰かに話すことで効果は上がります。

私も美術鑑賞後はアウトプットすることを心がけており、家族や友人に観たものを話し、感想を伝えるようにしています。

難しくなくて良いのです。

カフェでおしゃべりを楽しむ感覚で自分語りをすることで、感情の安定化が見込めます。

相手との好みや、考えの違いから自分自身を知るきっかけにもなりますね。

治療だけでなく予防にもなる

世界保健機関(WHO)は、2019年11月にアートと健康との関連について分析調査したものを発表しており、アートは健康の改善に有効であると結論づけています。

もしあなたが、「最近気持ちが沈んでいるな」と感じていたら、美術館や博物館に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。いつの間にか、穏やかな気持ちが蘇ってくるかもしれません。

特に美術館にこだわる必要はないと思っています。動物園や水族館、好きなアニメや漫画の企画展でもいいのです。ちょっとやってみようかなという感覚でおすすめします。

誰かと一緒に出かけた際には、ぜひ感想を言い合う時間をセットにして一日を楽しめたら効果は倍増ですね。

もちろん、一人でゆっくり鑑賞したいという方は、観ることで癒しに繋がるので、ゆっくりと癒しの時間を満喫してください。

最後に

私は日本でスクールナースとして勤務しておりました。今の時代を生きる私たちにとって、メンタルヘルスの問題はとても身近なことです。

Paris Art Naviではアートを通して、私たちの暮らしが、そして心が、彩るアートの情報を発信していきます。

その中で1つでもあなたの心に彩りを添えるお手伝いが出来れば嬉しい想いです。

第2話へつづく…こちらをクリック!


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「アートが薬に?アートでWell-beingの向上。アートの処方箋」への2件のフィードバック

  1. インスタでメッセージさせていただいたchieko_colortherapyのchiekoと申します。
    私もアートのチカラ、色のチカラの素晴らしさに魅了されたひとりで、parisartnaviさんの
    専門的なのに、わかりやすくて素晴らしい記事に、とても感銘を受けています。
    先日初めてパリを訪れ、ルーブル美術館でモナリザを前にした時に、何故だか涙が込み上げて来ました。
    パリがアートの街だと言うことを体感して、
    街並み、配色、とても素敵だなぁと感動冷めやりません

    次回は、ゆっくりとパリでアートを堪能したいと思っています。
    私は、自由描画を描いて、シェアを聞くという形のセラピーをしています。
    parisartnaviさんのように、私も、もっとアートの素晴らしさを伝えて行きたいと思います。

    1. ちえこさん、インスタでもメッセージありがとうございます。
      初めてのパリが素敵な思い出となり私も嬉しいです。パリに住んでいても毎度この街に感動させられます。
      アートの力には魅力がいっぱいですね。

      次回のパリも素敵なアートとの出会いと発見がありますように..
      パリはいつもちえこさんを待っています♪

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