「近代のパリ1905−1925年」
プティ・パレ
(2024年4月14日まで)
この展示会は、プティ・パレが始めた3部作の展示会の締めくくりです。
「ロマン派のパリ、1815-1858年」から始まり「パリ1900年、スペクタクルシティ」に続き、今回の「近代のパリ、1905−1925年」最終作。
1905−1925年と言えば、狂ったパリ「狂騒の20年代」に、第一次世界大戦(1914−1918年)の戦前、戦中、戦後のとき…。
この20年間にわたるパリを巡る旅を、私たちにみせてくれます。
▼「狂騒の20年代」について詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてどうぞ。
物語のはじまり
物語はモンマルトルで始まり、ピカソ、モディリアーニ、シャガールなど当時無名のアーティストたちが、19世紀末にこの村に定住するようになった「ラパン・アジル」の足跡をたどります。
ラパン・アジル
モンマルトルが芸術家で賑わった20世紀初頭、まだ売れない貧乏な芸術家たちが夜な夜な集まる安い居酒屋「ラパン・アジル」で、彼らは気ままに絵を描き、お酒を飲み語り合います。
店名の由来は1875年、風刺画家のアンドレ・ジルが「フライパンから飛び出すウサギ」を店の壁に描いたことにちなんでいます。
現在もモンマルトルで営業を続けているこのお店の壁には、その絵が残っています。モンマルトルを散歩した際に、訪れみてはいかがでしょうか。
1905年-1914年 ベル・エポック
20世紀初頭は芸術展が多数開催され、そこで画家たちは自身の絵を売り、世の中に名を知らしめます。
1905年のサロン・ドートンヌ展(現在も毎年秋にパリで開催される展覧会)では、キース・ヴァン・ドンゲンなどの大胆な色彩表現が特徴的なフォーヴィスムと言われる(目に映る色彩ではなく、心が感じる色彩を表現した)作品が出品。
その後、後期印象派(セザンヌやゴッホ、ゴーギャン)、立体的に表現された絵画が特徴的なキュビスムが登場し、前衛芸術の開花がパリに見られました。
時代はモンマルトルから、モンパルナスへ
しかし1910年代が過ぎると、「ラパン・アジル」に通っていた画家や詩人たちは徐々に店から離れていきます。
絶え間ない建設、観光客の到来、家賃の上昇、不安によって..。
名声を得たフランスの画家や作家・画家志望のアメリカ人は丘を下りて、モンパルナスで人生を謳歌するように。ラパン・アジルで芸術家たちが夢を語りあうことはなくなっていきました。
− タブーのない自由
交通機関のファッションはスピードが重要!
女性のファッションはコルセットを捨てることが重要!
車や自転車などの発達が著しかった時代、1913年の傑作プジョー・ベベや、1911年のプロペラ機までも展示。
− ポール・ポワレ
また、当時は当たり前であったコルセット。それを無くし、「女性たちが動きやすい服装」を生み出した、デザイナー ポール・ポワレの仕事を大きく取り上げています。彼が手がけた衣装に加え、香水やジュエリーも観て楽しむことができます。
− シャンゼリゼ劇場オープン
1913年にペレ兄弟が建設し、ブールデルが装飾したシャンゼリゼ劇場。美しい浅彫レリーフを飾っただけの無駄のないシンプルな建築物はその新しさから話題を集めました。
ディアギレフが創設したバレエ・リュス(ロシアバレエ団)のスターダンサー、ニジンスキーを一目見ようとパリ中が殺到します。
ストラヴィンスキーの音楽に合わせた「春の祭典」の振付の衝撃が大きかったようで、大きなスキャンダルに。その時のコスチュームが展示されています。
当時の人たちは、これが、バレエなの!?と驚きを隠せませんでした。
第一次世界大戦(1914−1918年)
しかし、歴史上最も悲惨な戦争に見舞われたこの 1900年代が、芸術のための芸術の時代であったと信じるべきではありません。それまで絵画展が開催されていたグラン・パレは兵舎として使われ、次いで病院に転用されます。
このセクションではジョルジュ・スコットが描いた迫撃砲の上で爆発する死体、戦闘の現実を図面や絵画で示しています。
1915年になると、日常生活をパリの人々は取り戻すように。1916年にポール・ポワレの私邸を使って、「フランスにおけるモダンアート」展が開催されます。
ここでピカソの『アヴィニョンの娘たち』が初公開。1917年にはピカソの『パラード』がシャトレ劇場で公演さ、戦時下でも、芸術は着々と未来方向へと歩んでいきます。
パリ「狂騒の20年代」
平和が回復すると、無数のアーティストが世界中からパリに集まり、その中にはジャズを荷物に積んだアメリカ人も含まれていました。モンパルナスは、狂ったパリと呼ばれる「狂騒 20年代」の鼓動の中心です。
新しい生き方、時代、女性たちの社会進出..!
▼当時パリを震わせた場所、現在でもその熱狂を感じることができる場所に興味がありますか?
その後の世界
この展示会の締めくくり。
1925年に開催されたパリ万国博覧会は、1,500万人以上の来場者を迎え大成功を収め、フランスの国境を越えて「アール・デコ」が広まるきっかけとなりました。
当時博覧会に出品されていた、家具や、装飾芸術品の数々をみることができます。ジャンヌ・ランバンや、カルティエなどのコレクションもお見逃しなく!
Informations
会期 | 2023年11月14日 − 2024年4月14日 |
会場 | プティ・パレ |
住所 | Av. Winston Churchill, 75008 Paris |
開館時間 | 10:00-18:00 金土-20:00 |
定休日 | 月曜日 |
料金 | 15€ (18歳以下無料) |
アクセシビリティ | 身体の不自由な方もアクセス可能 (障がいをお持ちの方とその同伴者は特別展も無料) |
公式サイト | https://www.petitpalais.paris.fr/en |